マーケット１分ニュース（2025-10-29）
総括
米国株式市場で主要指数が再び最高値を更新した背景には、ハイテク大手の収益成長期待とともに、Federal Reserve System（FRB）による利下げ観測の継続という構図がある。為替・債券・商品市場では、円の上昇、金・原油の調整という変化が出ており、リスク選好の高まりとともに「次の材料待ち」という見方が台頭してきた。さらに、複数のニュースを通じて、米中関係改善やAI関連投資の拡大といったテーマが改めて市場の焦点になっている。
この流れを受けて、株式ではテーマ株の先行が鮮明になり、債券市場では利回りの上昇が抑制方向に回る動き、為替ではドルの重さが意識され、原油・金は調整局面に入った形だ。
株
米国株式市場では、特にハイテク大手を中心とした上昇が目立ち、例えば「マグニフィセント・セブン」の指数が1.3％上昇したことが報じられている。
この動きの背景には、AI（人工知能）関連の成長継続への期待と、29日・30日に発表を控える大手ハイテク企業の決算を見据えた先取りの買いがある。加えて、米中通商協議の進展観測も投資家心理を支えており、貿易リスクの後退が株式買いを後押ししている。
ただし一方では、こうした上昇に対して「買われ過ぎ」「年末にかけて5～10％程度の調整が入る可能性」の警戒感も高まっており、今後は決算内容と政策面のサプライズに左右されやすいフェーズに入っている。
債券
国債利回りの動きは、株式市場のリスク選好の高まりとインフレ・金融政策の見通しに敏感に反応している。特に、短期債利回りが上昇する一方で、長期債利回りの上げ幅は限定的という構図が目立つ。例えば、2年債を中心に利回りが高め推移しており、成長とインフレ双方を織り込む動きが進んでいる。
こうした中で、債券市場では「利下げ期待」という構図が残る一方で、株式市場の上昇によるリスク選好の優勢が債券の買いを抑えている。結果、債券利回りは上昇圧力を受けつつも、上値では慎重姿勢が優勢という展開になっている。
外為
為替市場ではドルがやや重く、特に円は対ドルで152円台前半まで上昇する場面があったことが報じられている。
この背景には、米財務長官との日米会談での協調観測や、米金融政策の先行きに対する見方の整理がある。加えて、株式上昇がリスク選好の変化を示しており、相対的にドルの買いが鈍るという構図も影響している。今後、10月末の会合を控える中で、ドルの軟調傾向が継続すれば対円・対ユーロなど通貨ペアでトレンド変化が見られる可能性がある。
原油
原油市場では、供給面の懸念や地政学リスクの再浮上が上昇要因として意識されていたが、直近では上値追いに慎重な姿勢も目立つ。特に、原油高によるインフレ懸念が株式・債券のトレンドに影響を与えやすく、原油の値動きが「次の材料」への織り込みとして利用されている。
ただ、株式市場の上昇が先行した分、原油の調整や横ばい圏での時間経過が想定されており、今後発表される需給統計や産油国の動向が改めて焦点となる。
金
金（ゴールド）相場は、株式市場の強さとともに逃避需要が後退し、1オンス＝4,000ドルを割る動きがみられた。
この変化の背景には、インフレ警戒感の継続にもかかわらず、リスクオンの流れが優勢になったことで「安全資産」としての金への買いが薄れている点がある。加えて、利下げ期待に対して今ひとつ動きが出ていないという見方も金相場を抑えている。今後、金融市場に不透明な材料が再燃した時には、金が改めて注目を集める可能性が高い。
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