マーケット1分ニュース(2025-10-28)
総括
米株式市場が続伸し、主要指数が終値ベースで最高値を更新した背景には、米中通商協議が進展に向かうとの期待感と、Federal Reserve Board(FRB)による利下げ観測が改めて意識されたことがある。加えて、短期債利回りが上昇し安全資産からのフローが株式へとシフトしつつある中で、債券・金・原油などの資産クラスもそれぞれ異なる反応を示している。
株式市場の上昇を軸に、債券が利回り上昇で反落、為替がドル優位で円が売られ、原油高が地政学リスクと供給懸念を映しており、金は逃避需要の後退と利回りの上昇を背景に弱含んだ。
株
米株式は、S&P 500が6875ポイントを超え、前日比で+1.23%の上昇を記録し終値ベースで最高値を更新した。
投資家心理を押し上げたのは、米中首脳会談を控えた通商交渉の進展期待と、主要ハイテク企業による決算発表が控えているという観測だ。エネルギーや半導体を中心とした買いが支えとなり、「押し目買い」としての買い戻しも加速した。ただし、上昇の勢いをさらに持続させるためには、決算が予想を上回る必要があるという見方も出ており、来週の発表に注目が集まっている。
債券
債券市場では、米2年債利回りが上昇し、債券価格が下落した。株式市場のリスクオン姿勢の中、逃避需要が後退したことが主因とされる。
また、原油高を背景にインフレ懸念が再浮上しており、10年債利回りの4%台への接近が市場の警戒を呼んでいる。こうした金利上昇局面では、債券にシフトしていた資金が株式など高リスク資産へと向かいやすい構図が形成されつつある。
外為
ドルが対主要通貨で堅調に推移し、円は1ドル=152円台半ばと売られた。
背景には、日銀の利上げ観測後退や、米中協議の進展期待によるドル需要の増加がある。一方で、輸出依存の日本企業にとっては円安の進展が収益面で追い風となる可能性があるが、輸入コストの上昇も懸念材料であり、今後為替の変動が企業収益や国内景気に与える影響を投資家は注視している。
原油
原油価格が約4カ月ぶりの大幅高となり、世界的な供給懸念が鮮明になった。
特に、米国によるロシア石油企業への制裁強化が供給懸念を高めたことが影響しており、エネルギー関連株の買いも加速された。原油高はインフレ期待を刺激し、金利上昇リスクを伴うため、株式市場全体にとっては一長一短となる。今後は、OPEC+の増産動向や主要消費国の需要動向などが焦点となる。
金
金(ゴールド)は逃避需要の低下と、利回りの上昇による機会コストの高まりを背景に大幅安となった。
リスクオンの動きが進む中、金利のつかない資産である金への投資魅力が相対的に低下している。投資家の焦点が成長・株式へと移る局面では、金の調整が続く可能性があるが、地政学リスクやインフレ加速への懸念が再燃すれば再び避難先として浮上することも念頭に置かれている。
出典(参照記事)
【米国市況】主要株指数が最高値、米中協議で楽観広がる-金は大幅安(Bloomberg Japan)
【今朝の5本】仕事を始める前に読んでおきたい厳選ニュース(Bloomberg Japan)

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