マーケット1分ニュース(2025-10-23)
総括
米国市場では株式が特にハイテク銘柄を中心に売られ、モメンタム取引の巻き戻しの様相を呈した。一方で長期国債の利回り低下が示すように、債券には逆風ながらも安全資産としての買いが入っている。ドル・円相場は151円近辺で膠着しており、原油は在庫減少が支えとなって上昇傾向、金は割高感とドル買いを背景に軟調な状態にある。これら二つの記事からは、リスク資産から安全資産へ資金が再配置する過程と、地政学・政策リスクが投資家のセンチメントを揺さぶる背景が浮かび上がる。
いわゆるスタイル転換の兆しが、市場セグメントを分けて鮮明になってきた。
株
株式市場では、特にハイテク株が売られた。S&P500やナスダック総合がそれぞれ0.5〜0.9%下落し、利益確定売りが出た。
その背景には、直近の急ピッチの上昇による買い疲れに加え、ドナルド・トランプ政権が中国への対中輸出規制を検討しているという報道があり、米中対立激化への懸念が株価に影を落としている。
また、決算面では堅調ながら市場の期待がすでに先行しており、一部銘柄では決算に反応してむしろ株価が下げる展開も出ている。ハイテクを中心に「熱くなりすぎたところには調整」が入りやすい市況だ。
債券
長期国債の入札が好調となり、20年債・30年債の利回りはいずれも4月以来の低水準を付けた。これは投資家が比較的安全な資産へポートフォリオをシフトしていることを示唆しており、債券市場が「買い戻し」ムードへ転じてきた可能性を示している。
その一方で、国債利回り低下は金利期待の低下とも読み取れ、成長期待の鈍化やインフレ圧力の抑制といったテーマも背景にある。株式がリスク回避で弱さを見せる中、債券が受け皿となる構図が鮮明になっている。
外為
ドル・円相場は1ドル=151円付近でほぼ横ばいで推移しており、大きなトレンドが出ていない。20年債・30年債利回り低下の流れから見ると、本来ドル買い・円売りが進んでもおかしくないが、リスク回避の動きがこの動きの抑制要因となっている。
対中輸出規制など通商・地政学リスクが再び意識されており、市場ではドル・円のレンジが狭まってきている。為替市場には「様子見ムード」が漂っており、方向感を掴みにくい状況にある。
原油
原油相場は在庫の減少が確認されたことを受けて一段と上昇基調となった。特にウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)が1バレル=58ドル超で引けたという報告があり、需給ひっ迫を嫌気し始めた動きが支えとなっている。
ただし、相場参加者の多くは「一段の上昇に向けた強いトリガーとは言えない」と慎重な見方も示しており、調整余地が残る中、需給改善への信憑性が焦点になる。
金
金相場は、株式の調整や債券の利回り低下という環境で本来なら支えられてもよい状況にあったが、前述の記事ではむしろ売られた資産の一つとして挙げられている。
その背景には、急速な上昇によるテクニカルな割高感や、ドル堅調が金を抑える構図がある。投資家のヘッジ需要がやや後退し、「金=逃避資産」という単純構図が通用しにくくなっている。
出典(参照記事)
【米国市況】ハイテク中心に株安、モメンタム取引巻き戻し(Bloomberg Japan)
【今朝の5本】仕事を始める前に読んでおきたい厳選ニュース(Bloomberg Japan)

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