マーケット1分ニュース(2025-11-06)
総括
米国市場は株式が反発基調に転じる中、国債利回りの上昇とドル高・円安の進行が際立った。株では半導体関連など押し目買い圧力が優勢となり、債券・為替市場でも金融政策の先行きに対する見通し変化が色濃く映った。こうした株・債券・為替・商品を横断する動きには、「利下げへの期待の後退」と「需給・テーマ株偏重」の二つの背景が共通して作用している。
株
株式市場では、特に半導体を中心とした押し目買いが目立った。S&P500種株価指数は0.37%上昇、ダウ工業株30種平均も0.48%高となり、上昇銘柄数は300超に達した。 開始直後の売り一巡後、待機していた資金が再び参入したとみられる。エドワーズ・アセット・マネジメントのロバート・エドワーズ氏は「企業の利益が増加ペースを加速しており、売上高を上回る拡大がバリュエーション拡大を促すことが多い」と指摘しており、機会を探る買い手の動きが強かった。
ただし、裾野の広い銘柄では上昇が限定的であり、マクロ的には依然として慎重さも残る。テーマ株に資金が集中する構図が続いており、「強い面」と「構造的な偏り」とを同時に抱えている。
債券
米国債市場は利回り上昇基調となった。特に中短期の債券利回りに上昇が目立ち、利下げ期待が後退していることが背景にある。金融政策の先行きがタカ寄りへシフトしつつあるとの思惑が、債券価格の押し下げにつながった。株式が押し目買いで反発する一方で、債券では逃避的な買いが入りづらくなっており、リスク資産と安全資産との資金の流れに変化が生じている。
このような債券利回りの上昇は、企業の借入コストや債券発行環境を引き締める可能性があり、景気先行きに対する慎重な姿勢も増している。
外為
ドルは対円で154円台前半まで上昇し、円安が鮮明化した。 利下げ観測の後退、日米金融政策の方向性の違いが意識された動きで、米金融当局の利下げ慎重発言がドル高を支えた。ドル高・円安の進行は、輸出企業にとっては有利な面がある一方、輸入コスト・物価に対する圧力を強める可能性もあるため、国内経済には一段と注意が必要となる。
また、為替が金利差や需給の観点で動いたことから、為替市場が金融政策変化を市況に織り込み始めていると言える。
原油
原油市場は株式や債券の動きと同調してやや重い展開となっている。特に期近の米景気指標が良好であったことから、インフレや景気加速への警戒も意識され、原油の買い戻しよりも利益確定やポジション調整が優勢だった。加えてドル高がコモディティの割安感を薄める構図も原油の上値を抑える要因となった。勢いに乗った上昇局面というよりは、動きの転換点を探る様相が強くなっている。
金
金(ゴールド)は反発しているものの、上値追いには慎重な姿勢が見られる。リスク資産の反発とドル高・金利上昇という環境下では、従来の「安全資産としての金」の魅力はやや削がれており、金は逃避売買の受け皿としてではなく、ポジション調整目的の資金先として位置づけられつつある。今後、インフレ再加速や地政学リスクの顕在化がない限り、金は大きく変化を伴う局面には入りづらい。
出典(参照記事):
【米国市況】株反発、半導体に押し目買い-国債増発観測で利回り上昇(Bloomberg Japan)
【今朝の5本】仕事を始める前に読んでおきたい厳選ニュース(Bloomberg Japan)

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