この記事では2つの資金管理術「損失額の事前決定」と「分割エントリ」について記載します。
そもそも資金管理とは何か、一言で表現するなら防具です。
資金をゲームのHP(ヒットポイント)に例えるなら、資金管理は死なないために必要な技術です。
多くの人が資金管理を学ぶのは、以下の流れで大きな損失を出すことがきっかけになると思います。
- なんとなくトレードを始める
- なんとなくの流れで勉強も開始
- テクニカルを優先して学ぶ(資金管理という単語は聞いてもスルー)
- インジケーターの組み合わせ等、利益の出る手法を探す
- 試行錯誤の間に大きな損失に遭遇
防具の存在を知らないまま冒険に出たら、当然どこかでゲームオーバーになります。
トレード初心者でこの記事を読んでいる方、正直、とても羨ましいと思います。
最初の町でいきなり強い防具を揃えることになるからです。
未だに裸のまま何度も冒険に出て、戦い続けている人もいるかもしれません。
今からでも遅くはありません。
大至急、「損失額の事前決定」の鎧、「分割エントリ」の盾を装備するようにしてください。
資金管理の鎧:損失額の事前決定
トレーダーが大負けするメカニズム
よく聞く負けの典型「コツコツドカン」は、「コツコツ勝って、ドカンと負ける」を意味します。
この言葉は、永遠に勝つことはない、必ず負けがあることを教えるものです。
以下は、ドカンとゲームオーバーになる代表的な流れです。
- トレードで勝ててくると、もっと利益が欲しくなる
- ロットを追加する
- 逆行して含み損が膨らむと恐怖を感じる
- 復活を願いナンピンでロットを追加する
- 繰り返すことで、確率×時間で大損に遭遇
- 耐えられず損失を確定
一番悔しいのは、損失確定後にリバウンドした時です。
その時「もっとメンタルを強くしないと!」と思う人も多いと思います。
その考え方は間違いです。
本当にメンタルの問題でしょうか?
どうして耐えられない金額になったのでしょうか?
原因はロットが肥大化し、終盤はギャンブルをしていたからです。
損失額を事前に決めて資金を守る
原因がロットサイズであれば、解決策もロットサイズにあります。
その解決策はトレードの前に損失額を決めておくことです。
「コツコツドカン」が負けの典型なら、これを逆転させれば勝ちの典型になるはずです。
コツコツ負けて、ドカンと勝てばいいのです。
コツコツ負けるためには必然的に損失額を決めておく必要があります。
例えば「この損失だったら10連続支払っても平気」という金額を決めましょう。
1回のリスクを2%以内に抑えるという有名な「2%ルール」も有効だと思います。
2%ルールの場合、100万円で10連続負けると以下のようになります。
トレード回数 | 資金 | 損失2% | 残額 |
---|---|---|---|
1回目 | 1,000,000 | 20,000 | 980,000 |
2回目 | 980,000 | 19,600 | 960,400 |
3回目 | 960,400 | 19,208 | 941,192 |
4回目 | 941,192 | 18,824 | 922,368 |
5回目 | 922,368 | 18,447 | 903,921 |
6回目 | 903,921 | 18,078 | 885,843 |
7回目 | 885,843 | 18,717 | 868,126 |
8回目 | 868,126 | 17,363 | 850,763 |
9回目 | 850,763 | 17,015 | 833,748 |
10回目 | 833,748 | 16,675 | 817,073 |
10連続負けても最初の資金の81%以上が残っているなら、まだ戦えると思いませんか?
上記のルールはあくまでも一例ですし、損失額を毎回固定化する方法もあると思います。
いずれにせよ自分中の損失額のルールを作ることが重要です。
適正ロットを計算して資金を守る
損失額が決まったら、トレードするためのロットサイズの計算に入りましょう。
ロットサイズの計算に必要な情報は、「損失額」、「値幅」、「取引単位(契約サイズ)」、「円転レート」の4つになります。
「値幅」は、エントリポイントとストップロスまでのレート差のことで、トレードの都度計算するようにしましょう。
例)ドル円132.50円エントリ132.00円ストップなら0.5、ユーロドル1.0750ドルエントリ1.0700ドルストップなら0.005になります。
「取引単位(契約サイズ)」は、国内FXなら10000だったり海外FXなら100000であることが多いと思います。
取引業者毎に異なるので、各社で確認してもらってもよいですが、MT4なら下記の操作で確認できます。
MT4で取引対象の上で右クリックし、「仕様」を選択すれば「取引単位(契約サイズ)」が分かります。
「円転レート」はドル円やユーロ円などのクロス円では不要で、外貨建てトレードの際に使用します。
ドルストレートや原油等のドル建てトレードは、単純にドル円の値になります。
ドルストレートやクロス円以外なら、その外貨を円に戻す時のレート値を使います。
これらの情報を次の式に入れると、許容される損失に抑えられるロット数が分かります。
適正ロット =「損失額」 ÷ 「値幅」 ÷ 「取引単位(契約サイズ)」 ÷ 「円転レート」
クロス円の場合の例)20,000円 ÷ 0.5円幅 ÷ 10000通貨 = 4ロット
ドルストの場合の例)20,000円 ÷ 0.005ドル幅 ÷ 10000通貨 ÷ 円転130円 = 3.07ロット
トレード前にこの計算をすることで、コツコツ負ける(=死なない)トレードを行うことが可能となります!
資金管理の盾:分割エントリー
資金を守る分割エントリーのルール
「トレードの鎧:損失額の事前決定」で連敗してもゲームオーバーにならないようになりました。
これだけでも十分ですが、さらに防御力を高める「分割エントリー」という方法があります。
但し、鎧のように着ていれば良いものではなく、盾として上手く使えるようになる為、ある程度練習が必要になります。
やることは単純で、トレード前に決めた損失額をさらに分割することです。
2分割でも3分割でも、合計金額が最初に決めた損失額になるのであれば構いません。
「分割したら利益が減る!」と思われるかもしれませんが、分割エントリーは、分割範囲内でロットの追加を認めるというルールです。
大負けのメカニズムにて、ロットの追加によって大負けになると記載してますが、それは無計画なロット追加によるものです。
分割エントリーは、事前に損失額を決定し、さらに分割することでロット追加をトレード計画に入れてしまうということです。
ただし、後からロット追加する場合、エントリーやロスカットのタイミングが毎回異なります。
エントリーの都度、値幅と共にロットが変わることになるので、注意してください。
分割エントリーで資金を守る以外のメリット
例えば3分割した場合、以下のように機動的なトレードを行うことが可能となります。
- エントリー1回目が損切方向に動く。
- 強いサポートが確認できた場合、3へ。 ※想定と違う動きなら、損切で終了
- エントリー2回目を投入しナンピン。
- 含み益が大きくなってきた場合、5へ。 ※サポート破られたら、損切で終了
- エントリー3回目の追加ロットで、トレンドの本流に乗っていく。
もし、分割せずに全てをエントリーしていたとしたら、【2】で全額を失う可能性があります。
ナンピンが失敗して【4】で損切になったとしても、分割しなかった時の3分の2の金額ですみます。
逆にナンピンが成功した場合、【1】よりもエントリーの平均値が有利な値になります。
利益確定では不利なエントリーからクローズし、有利なエントリーはホールドすることも可能です。
これらは一例で、他にも様々な使い方もあると思います。
初心者なら2分割固定にして、「たった一度だけ追加ロットできる」というだけでもトレードの対応幅が広がるのではないでしょうか?
エントリー1回目は計算しても、ロット追加を感覚でやると想定以上の損になることもあります。必ず毎回計算してくださいね!
資金管理の計算が面倒な人にオススメのツール
ここまで読んだ皆さんの気持ちが手に取るように分かります。
「計算難しい!」「面倒で毎回やってられない!」
私も便利なツールはないのかとWEB上を探しましたが見つからず、エクセルで計算シートを作成していました。
しかし、毎回エクセルを起動するのも面倒で、外出先では使いにくく困っている状態でした。
「いっそのこと、適正ロットや分割エントリーを計算してくれるWEBサービスを作ってしまおう!」
ということで、適正ロット計算ツールを皆さんにも提供します。
もちろん無料公開ですが…このサイトからTariTali(タリタリ)等を登録してもらえると、バージョンアップのやる気になります。
- ダウンロード不要!
- PCでもスマホでもいつでも計算!
- 入力内容はブラウザが記憶するから打ち直し不要!
- 入力内容はサーバに保存されないので安心!
是非活用してみてください。
引き続き、有益で且つ優位な投資情報について記載していきたいと思います。
この記事が気に入ったら、下からTariTari(タリタリ)の登録をして貰えると、サイト運営の支えになります。
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